2012年12月のエントリー一覧
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年末特番とやらを見ました
年末恒例の特別番組ばかりになって、いくつか見ました。 東京MXで「西部邁ゼミナール年末特番」だったかな。「経済」は、経世済民を短くしたもの。世をおさめ、民をすくう意味だと言っていた。 聞いたことがあるぞ。 近頃は、経済といえば「金まわり」や「金儲け」の話ばかりで、すっかり忘れていた。 あはは それから、こんなことも言っていた。 情報とは「敵情報告」の真中をとったものだとか。 これは知らなかった。...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章――7
「ここです」 きっぱり言って 星白が立ち止まったのは、 土嚢を積んだ場所とは宿をはさんで反対側になる 上流の土手だ。 勢いの衰えない濁流が近い。 ドスッ 狙いを定めて鍬を突き立てた。 先ほどの手伝いのおかげか、 腰つきが決まっている。 一心不乱に穴を掘る星白だった。 その脇には 程よく茂った茂みが在ったりする。 静かであれば、 その陰から 星白とは別に穴を掘る音が聞こえるはずだが、 増水した川の轟音が...
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八尺くんのひとりごと
今年も 残り三日と少しですね。 いや、 慌ただしいです。 なんとなく、 せわしないです。 一度だけですけどね、 キリスト教徒でもないくせに、 マ・スールたちと一緒に、 聖夜のキャンドルサービスをしたことがある私ですが、 クリスマスは 平気でスルー出来るんですよ。 ご存知かもしれませんが、 マ・スールはフランス語で、 直訳すると「私のお姉さん」 英語圏では シスターと呼ばれる尼さんのことです。 だけど お...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章――6
早咲きの一般的な品種は、 あらかた 球根の掘り出しが終わっている。 畑に残っているのは、 遅咲きの希少な品種が多い。 金になるのは、 そちら の方だ。 洪水になってしまえば、村の財産が 根こそぎ駄目になるということだ。 血相を変えているのも無理はない。「手伝おう」 黒ずくめが申し出ると、 世界を救うつもりの星白だって黙ってはいない。「ぼ、 ぼ、 僕も手伝います。 村を救わなくては」 隣で一郎も頷く。 真...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章――5
「ここまでくれば、 しめたものだ。 あたしにも分かる。 穴を掘りたくなってきた」 夕食を済ませ、 部屋に入って二人きりになったところで、 蜻蛉が桜に耳打ちをした。 そんなことをしなくても、 部屋には二人しかいない。「やっと 己の身を恥じる気になったか」 桜のツッコミもなんのその、 蜻蛉は にやりと不適な笑みを浮かべる。「どうやらお宝は地面の下だ。 掘って、 掘って、 掘りまくるぞ」 勇ましく腕まくりをし...
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テンプレートがおかしなことになってしまいました
更新したら、テンプレートがおかしなことになってしまいました。記事の更新以外 どこも触っていません。元に戻したいのに、どうしたらいいのか分からなくて困っています。分かる方がいらしたら、教えてください。お願いしますうすいません、この記事をアップしたら治ってしまいました。なんだったのでしょうか。...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章――4
「いやあ、 四名様でござりすか。 広い部屋が無えだども、 別々になってもよかっぺか」「二人ずつがいい。 我々は たまたま同行しているだけだからな」 桜の返事に番頭はうなずいて、 宿帳を出した。「んだば、 これに住所と名前を書いてけれ。 こんな時期に来なさるとは、 お客さん方は 鬱金香目当てではなかっぺ。 何さしにけらした? いやね、 球根泥棒が出たことがあって、 警邏隊から 用向きを聞くように言われてい...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章――3
「随分と景色が眞籠(まこも)国とは違うね」 あたりを見回していた蜻蛉が 呟いた。「かなり北に来ましたから。 植物の分布も 少し変わってきたようです」 星白が応じた。「うん、 それもあるんだろうけど、 なんか空気が違うというか 雰囲気が変わったというか、 そうだ、 たたずまいが違っているっ て感じ?」 似合わない蜻蛉の言い方に、 桜も珍しく異論を口にせず、 うなずいている。「そうですね。 特に日暮れ時の物悲しい...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章――2
雨は降ったり止んだりを繰り返しながらも、 季節を思い知らせるかの如く 暗い空をしつこく見せ続けた。 都から離れていくにつれ、 蜻蛉にも 行く先が分かってきたらしい。 国境の関所を抜けた頃には、 男二人よりも先に出て歩こうとして、 度々桜に引き戻されることになった。 麻本呂婆の中央、 東西に連なる山脈の北側を目指しているようだ。 この時期に 仕事等でどうしても移動せざるを得ない人々は、 遠回りになって...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章 青空色の鬱金香――1
「あら、 寄寓(きぐう)だわ。 星白さんじゃなくて。 お久しぶり。 あたし蜻蛉よ。 覚えてる?」 蜻蛉のわざとらしい愛想笑いを怪しみもせず、 星白は嬉しそうに笑った。 どんよりとした曇り空の下、 かすかに生暖かい風が吹いている。「うわあ、 蜻蛉さんだ。 また会えて すごく嬉しいですう」 満面の笑みを浮かべた星白は、 蜻蛉を眺めた。 くしゃくしゃの短い髪、 寝ぼけたような目、 そばかすの浮いたぺっちゃんこな鼻、...
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雑文です 右とか左とか
日本の国旗「日の丸」は美しい。大好きだ。 シンプルで分かりやすい。 その上、よく目立つから、万国旗の中にあっても、すぐに見つけられる。 最高のシンボルデザインだと思う。 洋楽で演奏する「君が代」はイマイチだと思う。 長野冬季オリンピックの開会式で演奏された雅楽の「君が代」はすごく良かった。 「君が代」は、是非、雅楽で演奏して欲しいものである。 こういう事を書くと、 すぐに右翼の発言だと翻訳してし...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第六章 むらさき戦争
追記がございます。 第七章につづく戻る★★★次へ...
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犬派のねこまんま 23である byねこじゃらし
<子どもは風の子 犬派の子> ――豪雪地帯の思い出である―― 大雪が降った後、 からりと良い天気になることがある。 そんな日には、 冬の太陽が、 どっさり降り積もった雪の表面を溶かす。 やがて日が暮れて、 夜の寒さが溶けだした表面を 堅く凍らせると、 翌朝には、 子どもが走ったくらいでは崩れないほどになるのだ。 一見 ふんわりと見える雪の上を、 影踏み しながら登校するのが楽しかった。 畑も田んぼも全部雪の...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――11
「本家からお土産だ」 桜は 鷹揚に受け取った。 がっついてないところが やっぱり怪しい。 しかし、 お土産を すんなり渡す蜻蛉も、 桜に充分怪しまれていた。 互いに顔を見合わせ、 静かな時間が流れる。 桜が、 おもむろに 紐に手をかけて解き、 箱を開けた。「うむ、 銘菓ぴよぴよ饅頭だな」 優雅な手つきで一つ取り出す。 蜻蛉は 気づいた。 銘菓を手にしてなお この余裕ある態度は、 絶対に 何か美味いものを食べたに...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――10
「そ、 それは、 もしや……」 桜の目が釘付けになる。 八尺の両手でつかまれて、 つややかに緑色の光沢を放つ丸い玉。「いいでしょう。 隠居に頼んで 取り寄せてもらいました」 西瓜の名産地 尾鼻山の名人が 温室で丹精込めた一品、『翡翠(ひすい)珠』と銘打たれた一級品だ。 その名の通り 黒い縞は無く、 美しい緑一色のそれは、 高価な値段にもかかわらず人気があり、 手に入りにくいことでも有名だ。 育成が難しく 露地栽...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――9
「蜻蛉ちゃんは目が高い。 見事な馬でしょう。 古いものではないが名品です。 ここには わたしの好みに合うものだけを選りすぐっておいてあるが、 本家の倉には まだまだ良い物が有りますでな、 良かったら案内しますぞ」 八尺の連れというだけで 正体をよく知るはずのない蜻蛉に対して、 警戒もなく 気前のいいことを言い出した。「はあ、 ありがたいけど、 あたしなんかに 倉まで見せていいのか」「はい、 今日は 本家で...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章 ――8
「何でも言ってください。 出来る限りのこと…… いや、 無理なことでも 何とかします。 何でしょうか」「うん、 後でゆっくりな」 飲み放題食べ放題の夜は更け、 桜と蜻蛉も 豪華な客間に泊めてもらうことになった。 直接縁(えん)も因(ゆかり)も無い桜と蜻蛉の二人は、貧乏旅行に戻ろうとしたが、 麦平が引きとめ、 八尺もかまわないから居てくれと頼むのをいい事に、 裳名里屋の隠居所に 居候する羽目になった。 二人が...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――7
裳名里屋の隠居所だというその建物は、 瀟洒(しょうしゃ)な 落ち着いたたたずまいだった。 由緒ある大財閥が住んでいると知らなければ、 ちょっとした金持ちの屋敷としか 一見 見えないが、 判る者が見れば 相当凝った造りだということが見て取れるだろう。 さらに、 住む人間の使い勝手をよく考えた、 住み心地の良い作りに仕上がっている。 才気走った若手には 逆立ちしても出来ない芸当だ。 名のある棟梁の 晩年の...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――6
「だから、 誘拐じゃない。 いとしの桜さんに頼まれたのだ」 しつこく繰り返される尋問に うんざりしながらも、 八尺は諦めることなく弁明を試みた。「ほほう、 怪しい魔法使いばあさんの愛人か」 真面目な警邏官は、 そんなたわごとに惑わされない。 何しろ現行犯だ。 桜も一緒に捕まっていた。「蜻蛉は孫だ。 当人に聞いてみろ。 それにこいつは愛人などではない。 勝手にくっついてきただけだ」 『怪しい魔法使い』を...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――5
「やはり、 あれは本物だ」「おっ、 これで三つになった」 こそこそしている二人の周りをうろつきながら、 八尺が、「邪魔な頓珍漢って、 もしかして俺? ねえ、 俺?」 とかやっていた。 それを放っておいて、 蜻蛉が元気に歩き出す。 たどり着いたのは博物館。 昔貴族の屋敷だったところを改装した 立派な建物だった。 展示のお知らせ看板には 『特別展示・世界の秘宝展』とある。 蜻蛉は ずんずん進んで突入していった...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――4
緑の珠を 嬉しそうに握り締める蜻蛉を見て、 桜が 呆れたように首を振る。 蜻蛉は 足取りも軽く歩き出した。 ご機嫌だ。 しばらく行くと、 小さな公園があった。 街中にぽっかり空いた空間は、 そこだけ人気がなく、 小鳥が数羽遊んでいるだけだった。「あれ、 八尺のおっちゃんは?」「消えたな。 鬱陶しいのが居なくなってせいせいする。 しかし、 そんなものを買ってどうするんだ」「いいじゃないか、 きれいだもん...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――3
着いたのは 町外れの広場だったが、 聞こえてくる賑やかな騒音と 空気に混じる雑多な匂いが、 田舎とは まるで違っていた。 どの建物も 由緒ありげな風情を見せ、 道幅も広く きれいに整備されていて、 さすが 眞籠(まこも)国の中心、 行政府を備えた都というだけのことはある。 馬車から降りた蜻蛉は、 異世界を見るような気分で 回りを見回す。 同乗していた客たちは、 一瞬後には 見知らぬ赤の他人になって 街中...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――2
蜻蛉は 仕方なく、桜の元に戻る。「代官屋敷で飯を食ってから、 まだそんなに時間が経ってないんだけど、 もう 腹が空いたのか」「うむ、 全て 馬車の中で 気化してしまった気がする」「言われてみれば そんな気もする」 二人は 迷わず入店した。 食事時間から外れた食堂は、 がらがらに空いていた。 八尺は 桜の正面に座を占めると、 ニコニコしながら付き合った。「蜻蛉、 ここらでぶらぶらするのか?」 人心地がついた...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章 緑の微笑み――1
まもなく 今那司(いまなじ)の町に着いた。「いやあ、 乗合馬車の旅って お奨めだなあ。 不思議なことが満載だ。 怪しい代官が登場するわ、 一部の好事家だけに有名な 名演奏家がいるわ、 何が起こるかわかったもんじゃないところが めっぽう刺激的だ。 また乗ろう! 肥汲みの賃金もあるし 食費が浮いたし」 降りたばかりだというのに、 蜻蛉は馬車にまた乗りたがっている。 まるで 遊園地に来たお子様のノリだ。 今那司...
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マル子とペケ子のおとぎ話問答 一寸法師編
正体不明のペケ子が住む、 ゴミ溜めの如きボロアパートに、 幼稚園のせんせいをしているマル子が また来た。「浦島太郎は止めました。 一寸法師に変更します」 数日前、 ペケ子の話を聞いて、 イメージが ガラガラと音を立てて崩れてしまった。 子どもたちに 日本昔話を読み聞かせようとしていたのだが、 浦島太郎が金持ちの筋肉男では 乙姫様が心配だ。 つい余計な事を考えて、 読み聞かせる自信が無くなったのだ。「ふう...
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雑感 選挙に思う事
政治とか経済とかにはとんと疎い しのぶもじずりでございます。 選挙カーのにぎやかな音に、 初めて選挙権をもらった時のことを思い出しました。 初めての統一選挙。 張り切ったのですよ。 一応ね。 選挙公報を隅から隅まで読み、 NHKの政見放送も正座して見ました。 結果、 訳が分からんようになりました。 ある国会議員候補者の公約が、「○○市を通る××線を高架にし、道路の渋滞をなくします」だったり、「○○市の保育...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第四章――12
にわかに始まった演奏会は 大絶賛を浴びた。 皆、次々と福に握手を求め、 ついさっきまで 冷たい目で睨み、 罵っていた代官にも 熱い謝辞を述べる。「あの難曲が、 なんと楽しく 涼やかな調べに聞こえたことか! いや、 素晴らしい。 代官のおかげで貴重な体験が出来た」 八尺が 珍しくまともな感想を述べた。 他の一同にも異論はない。 手放しで褒めちぎる。 その様子に 福がはらはらと涙を流した。「ありがとうござ...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第四章――11
その日、 崖崩れの修復は進まぬままに 日が暮れた。 桜と蜻蛉は、 日がな一日 代官屋敷の談話室で 四弦琴をかき鳴らしては ごろごろ過ごし、 八尺は 台所から酒をくすねては 飲み続けた。 夕食の時刻になり、 皆が食堂に集まってきたが、 そこに代官の姿は見えなかった。 給仕が さっさと料理を出していく。 相変わらずの豆と芋だ。 八尺は いい調子で飲み続けた。 蜻蛉も食べている間は おとなしい。 夕食の席は 沈黙と...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第四章――10
翌朝、 豆料理と芋料理の並ぶ食卓に、 客たちが ぞろぞろと集まってきた時、 遅れて入ってきた八尺が、 顎に手を当てて しかめっ面をした。「よう、 代官さん。 道の復旧が いっこうにはかどってないようだが、 何故だ」 それを聞いた他の客たちが、 いっせいに代官を見るが、 代官は へらへらと楽しそうな顔を崩さず、 そらっとぼけた。「おや、 そうですか。 それは それは 困りましたね。 でもご心配なく、 通れるまで滞...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第四章――9
夕食は、 おたふく豆とサツマイモをどっさり使った料理だった。 代官は 相変わらず嬉しそうだ。 福は 時折ちらっと困った顔を見せながらも、 好物なのか ぺろりと平らげ、 いっそう困った顔になる。 蜻蛉たち三人以外は、 そんな福の様子が気になっているようだった。 案の定、 食事が終わって そそくさと立ち去ろうとする福を、 代官が呼び止めた。「福さん、 あの有名な福さんですよね。 私の目に狂いは無いはずです...