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2012年06月のエントリー一覧

  • 赤瑪瑙奇譚 第七章――7

     イマナジが、 うっすらと笑みを浮かべていた。 その昔、 モクドの巫女になる為には、 皆 『妖精王の瞳』 を身に飾り、 真の姿をさらす試練を 受けねばならなかったのだ。 いつしか その力は失われていたが、 モクドの宝には 違いない。 長い戦乱の中で 行方不明になっていた宝玉と巡り会えた。 喜びの笑みだった。 だが、 占いは やっぱりハズレだ。 ユキア姫には 必要ない。 この姫は 自分自身の中に、 しっかりした 『...

  • 赤瑪瑙奇譚 第七章――6

     メギドは 驚愕していた。 この食事会と寝室を所望したのは、 ツクヨリなのに、 突然、 何を言い出すのだ。 末娘を王妃にしたくはないか と誘っておいて、 いまさら切り捨てるつもりか。 あれこれと力を尽くし、 これまで 随分と役に立ってきたはずだ。 なのに、 この小僧は わしをコケにしたのか。 くそっ、 何を考えている。 頭の中には 言いたいことが 山ほど駆け巡っていたが、 口に出せたのは、 一言だった。「知らん...

  • 赤瑪瑙奇譚 第七章――5

     お茶会の翌日に、 あらかじめ予定されていた 晩餐の招待があった。 メギド公からの招待である。 まだ 噂は広まってはいなかった。  ウガヤ厳選のおしゃべり達は、 必死に 我慢の限界と戦っていた。 だから、 ユキアと共に カムライが現れた時、 メギド公は いたく驚いた。「ユキア姫の護衛についてきました。 護衛兵とでも思ってもらえばいい。 気遣いは 無用です」「いいえ、 そうもいきません。 しばし お待ちください」 ...

  • 赤瑪瑙奇譚 第七章――4

     三日後に、 ユキア主催の お茶会が催された。 こうした行事のために用意されている 迎賓館の特別室に、 招待客たちがやってきた。 急遽使いが来て 招待されることになった 高官や 町の有力者夫妻の何組かが、 出迎えたユキアに挨拶をしては 席についていく。 上品に取り繕ってはいるが、 時折盗み見るような視線に、 押さえきれない好奇心が見え隠れしていた。 ほぼ全員が、 例の噂を知っている。 カムライが 入ってきた。...

  • 赤瑪瑙奇譚 第七章――3

    (深窓の姫君で おっとりしているのかと思ったら、 こんな話も出来ちゃうのか。  いやあ、 案外頼りになるなあ) などと思いながら カムライが ユキアを見つめていると、 メドリが 割り込んできた。「私からも一つよろしいですか」 駄目だという理由もないし、 弱みもあるので、 仕方なくうなずいた。「小耳に挟んだのですが、 姫様とツクヨリ殿下が 相思相愛で、 結婚するかも という噂が流れているらしいのですが」「ええ――...

  • 犬派のねこまんま 10である         byねこじゃらし

    <とっても マタタビが好き> ねこじゃらしが 大好きだ。 という事は、 この稿の初回で カミングアウトした。 しかし、 もう一つ白状しなければならぬ。 言いにくい事ではあるが、 犬派の風上にも置けない という非難には、 あえて甘んじよう。 マタタビ が好きだ。 ペットショップに 売っているという 猫用の粉末では もちろんない。 吾輩は れっきとした人間であり、 その上、 れっきとした 犬派 である。 吾輩が好物...

  • 赤瑪瑙奇譚 第七章――2

    「お城の お茶会の日に……」(そら来た。 あの手紙だ。 どう説明しよう) カムライは、 覚悟も決められないまま、 ユキアの言葉を待った。「空き巣に入られましたの」「えっ、 空き巣ですか。 取られた物は?」 思わぬ話の展開に 、別の緊張が走った。「殿下は、 ほとんど わたしをご覧になりませんでしたから、 覚えていらっしゃらないかもしれませんが、 祝賀式典と 晩餐会で 身に着けていた 翠玉の首飾りが 盗まれました。 ...

  • 赤瑪瑙奇譚 第七章――1

    「ユキア姫を救い出したのは、 ツクヨリだったのか……」 カムライの報告を受けて、 カリバネ王は 絶句した。 人払いをして、 部屋には 二人きりだった。 王は苦悶の表情で、 カムライは どこか泣きそうな顔で、 沈黙が長く続いた。 王の密命を受けた手だれが探しても、 一晩以上かかった探索である。 たった一人の衛士だけを伴って、 あっさり見つけた意味を、 見逃すわけにはいかなかった。「単に ユキア殿が好きになったという...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――10

     メドリは ホジロが泊まっている宿に 行った。 何かと物騒なことが続いているので、 念のために こっそりと忍び込む。 覆面姿は 出来るだけ 人目にさらしたくはなかった。 ホジロから ユキアが助けに現れた経緯を聞いて、「ホジロさんて、 ぼうっとしているだけかと思ったら、 存外頼りになることもあるのですね」 と言って、 メドリが、褒めた(?)「あ、 ありがとう」「そこで、 もう一つ お願いがあるのですが、 侍女の衣...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――9

     カムライ、 ウガヤと、 カムライの腹心の部下である兵士たちだった。 ウガヤが 地図を見せて、 指示を確認する。「地下室のあった家は、 印をつけたところだ。  気づかれないように、 出入りの形跡が無いかを調べて報告しろ。 たとえ見つけても、 くれぐれも勝手に突入はするな。 犯人を捕まえるより、 姫の安全が第一だ。 行け」 兵士たちは頷いて、 静かに散っていった。「殿下、 昨夜は 何処にいらしたのですか」「うん...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――8

    「恐ろしい目にあいましたね。 もう大丈夫です。 帰りましょう」 ツクヨリは ユキアの手を引いて、 地下室を後にした。 続いて 衛士が出て行こうとすると 、見張りの男が 倒れたまま呻いた。 衛士が素早く戻って、 止めを刺した。 メドリは 酒樽の陰から姿を現し、 倒れた男たちを 調べてみたが、 身元をうかがわせるものは 何も無かった。 地上に出ると 、離れたところに 二頭の馬が 繋いであった。 ツクヨリは 馬上からユ...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――7

    「いいえ、 姫様お一人を置いては 行けません」 言う事を聞こうとしないメドリを相手に、 身振り手振りだけの押し問答をしていると、 ふいに、 ガタンと音がした。 メドリが、 仕切りの中に一つだけ残っていた 酒樽の影に隠れた。 ユキアは、 顔を隠すように 後ろ向きになる。 見張りの交代に来たのだろうか。 どかどかと 無遠慮な音を響かせて、 降りてきた足音は 二人。 居眠りをしていた男が あわてて飛び起きた気配がし...

  • 犬派のねこまんま 9である          byねこじゃらし

    <町の道路で地質学> 今でこそ、 日本の道路のほとんどが コンクリートかアスファルトで 覆われているが、 少し前まで 地方都市の住宅地では、 裏道は 砂利が敷いてあったものだ。 吾輩が住んでいた とある地方都市も、 表通りは 立派なアスファルトだったが、 アパート前の道路は、 砂利道だった。 とはいえ、 しっかりとした市だったから、 砂利が まだらになったり、 でこぼこし始める頃には、 市のトラックが来て 新し...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――6

     夜が明け始めた焼け跡を、 朝靄(あさもや)が 覆っていた。 昨夜検討した場所を、 ユキアが 音もなく動いては 調べていく。 一つの瓦礫の下に 地下に下りる入り口を 見つけた。 瓦礫に 半ば塞がれているので、 可能性は低い と思ったが 下りてみる。 真っ暗なので、 入り口の蓋は 開けておくしかない。 ひんやりとした地下室には、 古びた菰と荒縄が打ち捨てられているだけで 何もなかった。 氷室だったのだろうか。 諦めて...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――5

    「ねえ、 わたしを さらって隠すとしたら、 何処がいいかしら」「ふえ~、 今度は 何をやらかすつもりなんだ」 部屋に忍び込んで、 人目がないのを確認して 言い出したユキアに、 ホジロはあきれ返った。 メドリが誘拐された経緯を 全部説明すると、  しばらく考え込んだホジロは、 確かめるように 話し出した。「連れて行かれたのは 夕方なんだね。 それなら まだ城下だと思う。 今日の昼までなら 町の外に出てしまえば、 何...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――4

    「参りました。 予想もしない事ばかりが こうも立て続けに起きるとは……。 まさか ユキア姫が さらわれるなど おかしすぎます。  今、 マホロバを怒らせては、 奴らにとっても困るはず。 姫に 万が一の事があれば、  マホロバどころか、 同盟を結んでいる国々までもが ここを先途と攻め入ってくるのは確実。 我が国など あっという間に 消え去ります」「ウガヤ、 もしもの時は、 必ずや下手人を捕らえ、  その首と一緒に、 我...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――3

     ユキアは、 迎賓館を抜け出した。 覆面姿のユンは、 どこかで目をつけられている様子なので、  さらに 日除け布を垂らした 笠を被った。 春の離宮は 先日とは違い、 工事が再開され、 門も大きく開け放たれて、  関係者と思しき者たちの出入りもある。  忍び込むわけには いかないようだ。 門の前で 思案していると、「何か用かい」 と職人が 声を掛けてきた。「いえ、 先日通りかかった時に、 門が 厳重に閉まっていたの...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――2

    「ユンの素性を知りたいだけだ」「す……じょう……ですか。 すじょう、 すじょうっと。 酢醤油は、 ニ杯酢と三杯酢と どちらがお好きですか。 例えば、 トコロテンには どちらをかけます?」「ええ――っ、 トコロテン?」 メドリが なりふり構わなくなったところに、 通りがかりの男が 声を掛けた。「ほほう、 殿下は トコロテンがお好きでしたか、 我がマサゴ王国の特産品です。 今度たくさんお送りしましょう」 マサゴから来た ...

  • 赤瑪瑙奇譚 第六章――1

     翌日、 迎賓館のユキアの部屋に、 迎賓館の係りの者が来た。「何の用ですか」 メドリが応対する。「お手紙が届きましたので、 お持ちいたしました」「ありがとう。 げっ、 おじゃる丸」  手紙を受け取っても 使用人は 立ち去らない。「あの、 いつも姫君のお傍近くに居る侍女といえば、 あなた様ですよね」「はい、 もちろんそうです。 何か……」「入り口に、 カムライ殿下が お待ちになっています。 侍女の方に お会いに...

  • 赤瑪瑙奇譚 第五章――8

    「おい、 イヒカは まだ戻らないのか。  珍しいな、 こんなに遅くまで ふらついているなんて」 調理場では 夕餉(ゆうげ)の支度が 始まっていた。 調理人も 下働きも 一斉に動き出す。 いつもより忙しい気がするのは、 イヒカが いないせいだと、 苦笑いする者がいる。 知らぬ間に 役に立つようになっていたのだ。 ばたばたと 慌しい時間が 過ぎていった。 しかし、 イヒカは 姿を見せなかった。「イヒカはどうした。 しょう...

  • 赤瑪瑙奇譚 第五章――7

     カムライ王子が 不逞の輩に襲われた、  という警邏の役人からの知らせに、 城内は騒然とした。「して、 無事なのか」 カリバネ王が、 ウガヤに尋ねた。「詳しいことは まだ分かりませんが、 お命は無事とのことです」「早すぎる。 まだ動かぬと思っていたがな。 なにが起こっているのだ」「われわれの予想とは 違う動きになっていますね。 読みが 間違っていたのでしょうか。 それとも 計画を変えなくてはならないことが、 連...

  • 犬派のねこまんま 8である          byねこじゃらし

    <もう どうにも止まらない> 諸君は こんな場面を 見たことは無いだろうか。 世間を騒がせる 大ニュース。 例えば、 飛行機の 墜落事故。 機体は、 未だ 発見されていない。 TVの報道番組に映るのは、 情報を求めて 集まって来た 乗客の家族たち。 緊迫した場面である。 そこに実況を伝えようと、 若いアナウンサーが マイクを持って 現れる。 そうして、 彼は、 カメラに向かって、 へらへらと笑うのだ。 吾輩は 見...

  • 赤瑪瑙奇譚 第五章――6

     イヒカは、 小屋の見えるところに隠れて、 ホジロが戻ってくるのを じっと待っていた。 あの男が 入り口を見張っているので 近づけない。 どのくらい待っただろう。 道さえ判れば 自分が走ったほうが速かったかもしれない と思い始めたころ、 男が五人来た。 うち四人は、 布に包んだ細長い物を持っていた。 かなり長い。 男たちは、 辺りに人気が無いのを確信しているのか、 普通の声で 話し始めた。「上手くいったか」 ...

  • 赤瑪瑙奇譚 第五章――5

     突然、 後ろから頭をたたかれたイヒカは、 飛び上がりそうになって驚いた。 振り向くと、 ホジロが のんきな顔で 立っていた。「よお、 元気……」 ホジロの口を あわてて塞いで 小屋から離れると、 訳がわからないまま、 見たことを 全部話して 相談した。「ホジロさん、 どうなってるのか まるで分からないけど、 いやな感じなんだ」「確かに、 いやな感じ満載だ。 ユンに知らせなきゃ。 イヒカ、 迎賓館まで走れ!」「ごめん...

  • 赤瑪瑙奇譚 第五章――4

     ノミ川砦で腹をすかせていた 孤児のイヒカは、  カムライの計らいにより、 城の調理場の 使い走りをしていた。 床掃除やら 荷物運びやら のはしたな仕事ばかりで、  もちろん 王様がなにを食べているかも 覗かせてもらえない。 残り物ばかりの食事では、 目標の 「お腹いっぱい」 には程遠いが、 飢える心配は無くなった。 何より、 自分が食べる為だけではなく、 多少とも誰かの役に立っているのがうれしい。 自分にでき...

  • 赤瑪瑙奇譚 第五章――3

     回廊に たたずむ男。 誰だか分からないが、 あまり見ていては悪い気がして、  ユキアは お茶会をしていた部屋に戻った。 けげんな顔をしている一同のなかから、 隅に控えていたウガヤが出て、「殿下は どうして居ないのですか」 と聞いてきた。「急用だというお手紙が届いて、 出て行かれました」「あっ」 という声が、 入り口の 開いた扉の前から聞こえた。 先ほどまでは いなかった第三王子ツクヨリだった。「何か ご存...

  • 赤瑪瑙奇譚 第五章――2

     お茶会も終わろうとする頃、カリバネが、口を開いた。「カムライ、庭の紅葉が色づいてきたようだ。ユキア姫を案内してはどうだ」 見合いの定番だ。 カムライとしても、二人きりで話が出来るいい機会ではある。 昨日までなら、どうやって断ろうかと頭を悩ませているところだが、 今はそれどころではなく混乱していた。 混乱したまま立ち上がって庭に出る。 庭の木立は、ところどころ紅葉し、撫子、桔梗も咲いていた。 何処...

  • 赤瑪瑙奇譚 第五章――1

     招かれて 城を訪れたユキアたちは、 丁寧に出迎えられた。 マホロバのウケラ城とは違い、 装飾などは ほとんど目立たない。 入り口正面の、 大弓を持つ銅像だけが 威容を誇っていた。 見上げると、 案内の召使が 誇らしげに説明した。「初代王 イワレの像 でございます。 矢は イワレ王が実際に使ったものだ と伝えられております。 鏃(やじり)が黒曜石でできており、 悪魔を射抜いた という伝説がありますので、 城と国の...

  • 赤瑪瑙奇譚 第四章――8

     帰り道、 迎賓館に着く少し手前で、 ユキアは 突然馬車を止めさせた。 護衛の兵士が 何事かと訊きに来る前に、 馬車から飛び降りて、 暗い夜道を戻る。 護衛が 慌てて後を追った。 よく見ないとわからないが、 人が倒れていた。「死んでいます。 警邏の役人に知らせますから、 姫様は 馬車でお帰りください」 近づいて調べた護衛兵が 報告した。「病気なの?」「いいえ、 切り殺されています」 眉をひそめ、 踵を返そうとし...

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