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2012年04月のエントリー一覧

  • 赤瑪瑙奇譚 第一章――4

     数日後の午後、 ユキアが 書庫で本を探していると、  弟のエヒコが 声をかけてきた。 王子たちは 姉たちのように 屈折した成長振りを見せることなく、  眞に素直に育った。 第一王子 エヒコは、 次代の世継に相応しく、 まだ少年ながらも 堂々とした落ち着きと 思慮深さを持つ、 聡明な王子になっていた。 第二王子 オトヒコは、 何処で何をしているのか分からない。 誰も気にしない地味さを 発揮していた。  いずれ た...

  • 犬派のねこまんま 3である          byねこじゃらし

    <犬派なのに いきなり猫> 吾輩が、 人生で 初めてペットに遭遇したのは、 猫であった。 ううむ、 犬派は 何処に行ったのだろう。 しかも、 船乗りが喜びそうな、 真っ黒な 鴉猫であった。 くっきりとした金色の目を持ち、 ほっそりとした 短毛の黒猫。 江戸川乱歩の挿絵になりそうな 猫だ。 夏目漱石 ではない。 もちろん、 赤川次郎 でもない。 漱石の猫は、 灰色に斑入り。 赤川猫のホームズは、 雄の三毛。 致死遺...

  • 赤瑪瑙奇譚 第一章――3

     カムライが気づくと、 覆面から 心配そうな目が 見つめていた。 柔らかい寝台に寝ている。 知らぬ間に 運ばれていたようだ。 きっちりと 結ってあったはずの髪も、 知らぬ間に 解かれて流れていた。「気分は どう?」「まだ 体中がだるい。 水をくれないか」 ユキアが 水差しから汲んだ水を持ち、 カムライの肩に 腕を差し入れて 飲ませた。「余計な事をしたようですね」「そんな事は無い。 飛投剣は 私を狙ったものだ。  貴...

  • 赤瑪瑙奇譚 第一章――2

     翌々日、ユキアは 別荘にいた。「ホジロ、 また怪しげな実験をしているの」「怪しくはないが、 実験は 常時やっている」 ユキアの問いに、 ぼうっとした冴えない風貌の青年が答えた。 一つに括っただけの、 ぼさぼさの髪をかきむしる。 ホジロは 別荘の管理を任されている 下っ端貴族だが、 商売上手な商人をしていた父が、 貧乏貴族から 位を買ったというだけのことで、  生まれも育ちも下町だ。 片っ端から 色々なことに...

  • 赤瑪瑙奇譚 第一章――1

    「お姉さま!  メドリ、 お姉さまは?」 マホロバ国の長姫 ユキアの部屋に 勢い良く駆け込んできたのは、 妹姫セセナ、 可愛らしく 華やかに装った姿は、 いかにも年頃の お姫様らしい。 問われた若い侍女は、 にっこり と微笑んで答えた。「ユキア様は いつものように 朝早くから お散歩に出て、 まだ 戻っていらっしゃいません。 もうそろそろ お昼時ですから、 戻られる頃 とは思いますが」「着飾れば お美しくもなれると...

  • 赤瑪瑙奇譚  序章

     ――昔々、 あるところに、 マホロバ王国と名乗る 豊かな大国が ありましたとさ―― 時の王ホヒコデ王の 世継ぎ、 美丈夫の誉れ高い ウナサカ王子と、 マホロバに咲く大輪の花 と呼ばれた妃テフリ姫の間に 待望の第一子が 誕生した。 その知らせは 祝砲によって 民に届けられた。 一発ならば姫、二発ならば王子、祝砲は二度轟いた。  国中が 喜びに沸きかえり、 未曾有の 大騒ぎを 巻き起こした。 この国始まって以来の ドン...

  • 縦書き と 横書き

    「おじさんなせいか 横書きが読みづらい」 というコメントを頂きました。 横書きが読みづらいのは おじさんばかりではないと思います。 実は、私もです。 おばさんも、おじいさんも、おばあさんも、意外な事に若い人も。 電波に乗ってサーフィンをしていたら、 明らかに若そうな(たぶん、中高生くらい)の管理人さんのサイトで、「読みやすくしようと思い、行間を広くしました」 みたいな記事がありましたから、やはり同...

  • 犬派のねこまんま 2である          byねこじゃらし

    <とりあえず ねこじゃらし> ねこじゃらし が好きである。 実のところ、相当に好きである。 外国産の草で兎の尻尾という名のよく似た草があるが、 日本産の ねこじゃらしの方が 断然可愛いと思っておる次第である。 形態から付いた名前と用途から来た名前の違いであろう。 ところで、ねこじゃらし の古名を「えのころぐさ」と言う。 漢字で書くと、狗児草または狗尾草となる。 何のことは無い、犬の子、あるいは犬の尻尾...

  • クロウ日記 十(完)

     やっと 王宮に平穏が戻ってきたある日のこと、  中務卿の執務室にやってきた者がいた。 執務室には 人気がなかったが、 それを気にもせず入っていく。 カタカタ、 バサバサ、 と音を立てて しばらく何かをしていたが、  それが終わると 部屋の中を見回し、 おもむろに 書類戸棚の扉を開けて 覗きこんだ。「クロウ様、 何をしておいでなんです」「沈思黙考」 中から 返事が返る。「出ていらっしゃいませんか。 お茶を入れま...

  • クロウ日記 九

     それからのカケルの働きは 目覚しかった。 最後のほうは 命の危険を感じる事態にも遭遇したが、 知らないうちに 窮地を抜け出していた。 自分が 何故助かったのか 不明だったが、 無事なのだからそれで良い、 と深くは考えなかった。 自分の身の心配よりも、 陰謀を防ぐことが 大事だった。「カケル、出揃った証拠は 検非違使長官に持っていけ。 話は通してある」「御意」「これでそなたも 晴れて潔白の身だ。 掃除は飽きた。...

  • 犬派のねこまんま 1である          byねこじゃらし 

    <一応 所信表明> 吾輩は ねこじゃらしである。 さらりと流せ!  突っ込むな! 当然 その実態は人間である。 道端の草が 文章を書く訳が無い。 人類を 犬派と猫派に分けるならば、 吾輩は 間違いなく犬派である。 まったく 断固として 犬派に間違いない。 然るに、ねこまんま が好物であることも また 確かな事実である。 飯に鰹節と醤油を乗せ、汁をかけるのが基本だが、 佃煮や塩辛等 ご飯のお供を乗せても 問題...

  • クロウ日記 八

     大当たりだった。 そんなことは当ってなど欲しくはないが、 調べなくてはならない。 表面上は 「中務卿の犬っころ」 としての無害を装い、 その実 優秀な頭脳のありったけを駆使して 調査をすることになった。 ことは予想以上に大きかった。 先王の時代、 ウケラの各所で 土地が強制的に 召し上げられた。 普段は公園として利用し、 災害などの有事の際には 避難場所にするためだ。 ついでに 都の整備も兼ねた大規模な計画...

  • クロウ日記 七

     そして、 クロウが予想したとおり、 宮中の魑魅魍魎が 動き始めた。 カケルが無口を通したのは、 声から 正体が知れるのを恐れた為だったが、  それが 意外な効果を発揮した。 まともに口もきけない愚か者に見られ、 ほとんど 犬並みにしか関心をもたれなかったのだ。  都合のよい仮面に隠れて、 不正の証拠は 次々と 簡単に手に入ってきた。 時には、 棚からぼた餅が落ちてきたかのように 簡単に。 すべてをクロウに報告...

  • クロウ日記 六

     やがて クロウが 一人の男を雇い入れた。 濃い髭が 顔中を覆い、 合わせるように 髪の毛もぼさぼさなのが 宮中では 異例である。 正式な官吏ではないため 下官というわけにもいかず、  個人的な下僕 という扱いに収まった。「執務室で 動物を飼うのは駄目だ といわれたが、  これなら 犬の代わりになる。 趣があって良い」 とは クロウの弁だが、 犬というより 熊に近い。 変人王子のすることは よく分からないが、 この程...

  • ご迷惑をかけていたら ごめんなさい

     身近に教えてもらえる人も無く、全くの手探りでブログを運営しています。 初心者でも大丈夫という噂のFc2ブログですから、楽をしているはずなのですが、 初心者以前の私はけっこう大変です。 HTMLって何! 聞いてないよ!! メールで送られてきた「新着コメントのお知らせ」、 「報告する」というURLをクリックしたら、コメントが「迷惑BOX]に入ってしまった。 あれって、余計な事をしない方が良かったのでしょうね。 や...

  • クロウ日記 五

    「カケル。 そなたを もらいに来た」 一人の護衛も伴わず 突然現われた美貌の王子の言葉に、  自分の目と耳を疑うしか 為す術がない。 子どもの頃からのあだ名 「真昼の月」 そのままに、  ぼうっと 立ち尽くすばかりであった。 向き合った二人は 正反対だった。  あくまで美しく華麗なクロウに比べて、 カケルの容貌は どこまでも普通だ。 何をするか分からない 変人のクロウに対して、 カケルは 極めて常識人だった。 カ...

  • クロウ日記 四

    「私専用の下官を 雇いたいと思う。 一人ぼっちは寂しい」 執務室に現われ、 ナユタを呼びつけたクロウは、 こう切り出した。「かしこまりました。 早速 手配をいたしましょう」 内心では、 自分から 下官も召使も遠ざけたくせに 今更何を、 と思いつつも、 気まぐれな王子をうまく操れる人物を、 頭の中で 物色し始めた。「いや、 自分で探す。 退屈なのだ。 しばらく留守にしても かまわないだろうか」 これまでも 居るのか...

  • 目次のページ

              [物語]     【短編】「クロウ日記」    いきなりですが、ファンタジーではありません。    とある王国の王子と、陥れられて朝廷を追われた男の話。    ちょっぴりBL風味。短編です。  【一】【二】【三】【四】【五】【六】【七】【八】【九】【十】(完) 「香美位山」  【壱】【弐】【参】【四】【五】【六】(完)<泣きわめく子ども>  【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7...

  • クロウ日記 三

     やがて、 省内が 落ち着きを見せた頃、「執務室が 気に入らない。 雑然として 風流に欠ける。 掃除をしようと思う」 と、 クロウが 言い出した。「では、 下官の者を 呼びますゆえ、 お好きなように ご指示を お申し付けください」「いや、 誰も呼ばなくて良い。 自分でする」「いえ、 それはちょっと。 中務卿に 御自らお掃除をさせるなど、 もってのほか でございます。どうぞ 遠慮なく こき使ってやって ください」「私を 殺...

  • クロウ日記 二

     マホロバ王国 ホヒコデ王の 第四王子として生を受けた クロウは、  幼い頃から 紛れもなく 美少年だった。 美少年が そのまま 美しい青年に育つ とは限らない。 二十歳過ぎたら ただの野卑な阿呆面(あほうづら) ということも、 ままあることだ。 しかし クロウの場合は、 長ずるに従い ますます美しさが際立ち、 いっそ恐ろしい といえるまでに 成長した。 空を飛ぶ鳥が、 クロウの美しさに 驚いて落ちた、 という 怪しげ...

  • クロウ日記 一

     およそ自然界においては、 雄のほうが はるかに美しい。 百獣の王、 獅子の勇姿を象徴する鬣(たてがみ)も 雄のものである。 優美な鹿の頭上を飾る 見事な角も、雄鹿のみが 持つ。 鳥類でも 孔雀をはじめとして、  より華麗な彩りの羽をまとっているのは 決まって雄のほうだ。 求愛の踊りを踊る鳥も、 身を震わせて啼く 虫たちも、 見栄えのしない雌に対し、命の限りを尽くして 愛の告白を 繰り返す。  闘魚 と呼ばれる魚...

  • はじめちゃいました

    世の中の多くがすなる ブログというものを 我もしてみん……なあんて、思っちゃいました。自作の物語や雑文、思いついたことなどを載せていくつもりです。とはいえ、ブログって何をどうすれば良いのか全く分かっていません。お見苦しいところも多々あるとは思いますが、ふとした拍子に流れ着いた方の、暇つぶしになるような事があれば、楽しいな♪...

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Author:しのぶもじずり
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