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カテゴリ:クロウ日記のエントリー一覧

  • クロウ日記 十(完)

     やっと 王宮に平穏が戻ってきたある日のこと、  中務卿の執務室にやってきた者がいた。 執務室には 人気がなかったが、 それを気にもせず入っていく。 カタカタ、 バサバサ、 と音を立てて しばらく何かをしていたが、  それが終わると 部屋の中を見回し、 おもむろに 書類戸棚の扉を開けて 覗きこんだ。「クロウ様、 何をしておいでなんです」「沈思黙考」 中から 返事が返る。「出ていらっしゃいませんか。 お茶を入れま...

  • クロウ日記 九

     それからのカケルの働きは 目覚しかった。 最後のほうは 命の危険を感じる事態にも遭遇したが、 知らないうちに 窮地を抜け出していた。 自分が 何故助かったのか 不明だったが、 無事なのだからそれで良い、 と深くは考えなかった。 自分の身の心配よりも、 陰謀を防ぐことが 大事だった。「カケル、出揃った証拠は 検非違使長官に持っていけ。 話は通してある」「御意」「これでそなたも 晴れて潔白の身だ。 掃除は飽きた。...

  • クロウ日記 八

     大当たりだった。 そんなことは当ってなど欲しくはないが、 調べなくてはならない。 表面上は 「中務卿の犬っころ」 としての無害を装い、 その実 優秀な頭脳のありったけを駆使して 調査をすることになった。 ことは予想以上に大きかった。 先王の時代、 ウケラの各所で 土地が強制的に 召し上げられた。 普段は公園として利用し、 災害などの有事の際には 避難場所にするためだ。 ついでに 都の整備も兼ねた大規模な計画...

  • クロウ日記 七

     そして、 クロウが予想したとおり、 宮中の魑魅魍魎が 動き始めた。 カケルが無口を通したのは、 声から 正体が知れるのを恐れた為だったが、  それが 意外な効果を発揮した。 まともに口もきけない愚か者に見られ、 ほとんど 犬並みにしか関心をもたれなかったのだ。  都合のよい仮面に隠れて、 不正の証拠は 次々と 簡単に手に入ってきた。 時には、 棚からぼた餅が落ちてきたかのように 簡単に。 すべてをクロウに報告...

  • クロウ日記 六

     やがて クロウが 一人の男を雇い入れた。 濃い髭が 顔中を覆い、 合わせるように 髪の毛もぼさぼさなのが 宮中では 異例である。 正式な官吏ではないため 下官というわけにもいかず、  個人的な下僕 という扱いに収まった。「執務室で 動物を飼うのは駄目だ といわれたが、  これなら 犬の代わりになる。 趣があって良い」 とは クロウの弁だが、 犬というより 熊に近い。 変人王子のすることは よく分からないが、 この程...

  • クロウ日記 五

    「カケル。 そなたを もらいに来た」 一人の護衛も伴わず 突然現われた美貌の王子の言葉に、  自分の目と耳を疑うしか 為す術がない。 子どもの頃からのあだ名 「真昼の月」 そのままに、  ぼうっと 立ち尽くすばかりであった。 向き合った二人は 正反対だった。  あくまで美しく華麗なクロウに比べて、 カケルの容貌は どこまでも普通だ。 何をするか分からない 変人のクロウに対して、 カケルは 極めて常識人だった。 カ...

  • クロウ日記 四

    「私専用の下官を 雇いたいと思う。 一人ぼっちは寂しい」 執務室に現われ、 ナユタを呼びつけたクロウは、 こう切り出した。「かしこまりました。 早速 手配をいたしましょう」 内心では、 自分から 下官も召使も遠ざけたくせに 今更何を、 と思いつつも、 気まぐれな王子をうまく操れる人物を、 頭の中で 物色し始めた。「いや、 自分で探す。 退屈なのだ。 しばらく留守にしても かまわないだろうか」 これまでも 居るのか...

  • クロウ日記 三

     やがて、 省内が 落ち着きを見せた頃、「執務室が 気に入らない。 雑然として 風流に欠ける。 掃除をしようと思う」 と、 クロウが 言い出した。「では、 下官の者を 呼びますゆえ、 お好きなように ご指示を お申し付けください」「いや、 誰も呼ばなくて良い。 自分でする」「いえ、 それはちょっと。 中務卿に 御自らお掃除をさせるなど、 もってのほか でございます。どうぞ 遠慮なく こき使ってやって ください」「私を 殺...

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