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カテゴリ:薬種狩りのエントリー一覧

  • 薬種狩り 十八の3

     小太刀を外そうと引っ張りながら、 もう一度 大声で衣都を呼んだ。 衣都は、 今度は 松明に火を付けようとしていた。 別の枝が 穂田里の腰に伸びてきていた。 引き離されたら 更に窮地に陥る。 玲を助ける事が出来なくなる。 中途半端に食い込んだ小太刀を一旦諦めて 手放し、 穂田里は位置を替えて 玲を捕まえている枝にしがみついた。 その時、 ズサッ、 小太刀の隣に 衣都の山刀が飛んできて刺さった。 つかむと同時...

  • 薬種狩り 十八の2

     玲は待った。 穂田里は 無駄口が少なくなった。 衣都は表情が出て、 言葉数が少しだけ増えた。 大きな変化ではないが、 変わったと言えなくもない。 しかし、 玲は 全く変わっていない事に自信があった。 何も起こらなかった。 特に 消える様子もない。 続いた穂田里も消えずにいる。 振り向けば、 衣都は まだ森の中、 油の実に鼻を付けて、 興味深そうに匂いを嗅いでいるが、 特に異常は無さそうだ。 玲は ほっと肩...

  • 薬種狩り 十八の1

     穂田里は籠を引き寄せ、 中に入っている布袋に 無造作に 天狗苺を放り入れると、 二人に近寄った。「早く森を出よう」「間もなく日が暮れる。 ここで夜を明かした方が良い」 衣都の言うとおり、 空が夕暮れ色に染まり出していた。「僕も、 この理不尽な森からは 一刻も早く出たい」 それまでは 衣都の案内にまかせていた二人が、 異議を差し挟み、 いささかもめた。 穂田里の袋は開けっぱなしで、 天狗苺が はみ出している...

  • 薬種狩り 十七の6

     リーン、 右から 鈴の音が聞こえる。 リーン リーン、 左から 鈴の音が届く。 リーン リーン 足元から湧いてくる。 リーン リーン リーン、 天から 鈴の音が降り注ぐ。「迷子鈴だ。 しかし、 何処だ。 森じゅうから響いてくる」 しかめっ面で文句を言ってみたが、 状況は変わらない。 戻って来た衣都も その音を聞いた。 前と思えば 後ろ、 後ろかと思えば 前から聞こえる鈴の音は、 耳を澄ませば澄ますほど たどれない...

  • 薬種狩り 十七の5

    「近づかないで頂戴。 腹が立つわ」 他人には言わないだろう言葉を、 その人は 平気で玲に投げつける。 言葉が凶器になると 知らないはずは無いのに、 息子になら 何を言っても許されると思っているのだろうか。 泣いてしまったら、 負ける。 感情的になったら、 自分が壊れる。 恐怖からだろうか、 怒りゆえだろうか、 玲の身体が小刻みに震えた。「痛い!」 玲は 思いっきり耳を引っ張られた。《やっ、 すまん。 衣都は ...

  • 薬種狩り 十七の4

    「じいちゃん……」 言葉を途切らせた穂田里を、 祖父は じろりと睨んだ。「どうした。 言いたい事も言えんのか。 図体ばかり大きくなりおって、 ちっとも変っておらんな。 情けない。 わしが一丁もんでやる。 掛かって来い。 手加減はせんぞ」 自信たっぷりに 木刀を構えた。 いつも叩きのめされて、 一度も勝てなかった相手だ。 辛い記憶と 悔しい想いが どっと押し寄せる。 冗談じゃない。 勝てる気がしない。 すたこら...

  • 薬種狩り 十七の3

     穂田里を探して 木々の間を歩いていた衣都の前に、 駄狗が現れた。 ずっとそうだったように、 ぶっきらぼうに促す。「来い」 赤い実をつけた七竈《ななかまど《を曲がり、 盗人萩《ぬすびとはぎ《が混じる草叢を踏み分けて進む。 此処は『死者の森』だ。 生きているなら、 駄狗は盗人萩を避ける。 種が衣類にくっ付いて 面倒だからだ。 衣都は恐れることなく、 後を追った。「悪かったな。 おまえを連れて歩いたのは、 俺...

  • 薬種狩り 十七の2

     いつまでたっても 穂田里は戻って来ない。 迷子鈴も鳴らない。「探してくる。 ここに居ろ」 衣都が穂田里を追って、 木陰に消えた。 玲は 取り残された。 あまり 愉快な気分ではない。 多くの人間を飲み込んだ 『死者の森』なのだ。 植生を無視した 尋常ならざる光景が 目の前にある。 しかも、 気がつけば、 白樺の幹に寄り添うようにして立つ 華やかな女人まで居た。 森の住人だろうか。 人間が 森の中で跡形もなく...

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