カテゴリ:蜻蛉の願いはキンキラキンのエントリー一覧
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あとがきかもしれないもの ―― 蜻蛉の願いはキンキラキン
ピカレスクロマン…… になりませんでしたね。 悪ガキとクソ婆の腹黒珍道中 かな。「蜻蛉に願いはキンキラキン」は 作者が好きなものを 見境なく放り込んであります。 第一章は 落語です。 「壺算」て言いましたかね。 羽織を値切る話です。 後半部だけを さらにひねりましたから、 そんなに分からなかったと思います。 第二章は 小さなイベントです。 運動会、 村祭り、 のど自慢大会、 学園祭ノリです。 替え歌は好きです...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章―12 最終回
赤い宝珠が 滲むようにかすんでいる。 ゆらりゆらりと瞬きながら、 紅焔草の草原に溶け出すかのごとく 流れて消えた。「ギャーッ、 嘘―。 何で、 何で消えちゃったの」 蜻蛉が ひきつけを起こしそうになっていた。「……あっ」 心当たりがあるらしい声に反応して、 みんなが一郎の顔を見た。「二歳八ヶ月、 今日で九ヶ月……」 やっぱり意味不明な面々が、 視線で一郎を問い詰める。「あっ、 分かった。 365×2+30×9=1...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章――11
小鳥たちが 騒がしくさえずりだした。 星白と一郎が、 音のする方角を見ると、 騒いでいた小鳥たちが、 小さな羽根を広げて いっせいに空に飛び立つ。 小鳥の群れが去ったところから、 真っ赤な草を掻き分けて 蜻蛉が近づいてきていた。 後から 桜と八尺の姿も見える。 蜻蛉は いつものように 四弦琴を背中に負い、 陽気に手を振った。「お待たせー」 待っていた二人の男は、 思わず嘆息する。「来ちゃったのか」「うわあ...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章――10
部屋に戻っても、 クネクネとブツブツは止まらない。「そうだ! 旅の安全は 宝珠にお願いしてあるんだった。 出たとこ勝負でも何とかならないかなあ」「怪我はしないかもしれない。 でも、 勝てるとは限らない。 そもそも、 旅の安全と 自分から吹っかけた決闘と 同じには出来ないだろう。 別物だと思うぞ」 そのくらいのことは、 桜は すでに検討済みだった。「ふにゃ」と 妙な音を出して、 蜻蛉は撃沈した。 クネクネ...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章――9
しばらく歩くうちに 正気に戻ったのか、 蜻蛉が、 ぼさぼさ頭をさらにかき乱した。「うわあ、 あたしもしかして、 えらい事を口走っちゃった?」「どうも、 そのようだ」「うーん、 どうしたら良いんだろう」「まともな戦いで おまえが星白に勝てるとは思えん。 尻尾を巻いて逃げるか」「…………………………嫌だ」 蜻蛉は なおも頭をかきむしりながら、 ぶちぶちと意味不明の呟きを漏らして歩いていたが、 一軒の農家を目にすると、 ...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章――8
「待たせたな。 ここが終点か」 立ち止まった二人の間を、 時ならぬつむじ風が吹きぬけた。「星白君。 君の持っている四つの宝珠をくれ。 そうしたら全部揃う。 それを並べて、 踊る妖精を呼び出し、 あたしが世界を征服するのだ。 わっはっはっは」 蜻蛉の高笑いを耳にして、 星白の表情が引き締まった。「渡せません。 世界が誰かに征服されるなんて認めません。 特に 蜻蛉さんが世界をどうするのかなんて、 考えただけで ...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章――7
「最初に聞いたときは、 こりゃ無理だと思ったが、 あんたなら 世界を救えるかもしれない。 ガンバレや。 少なくとも 俺らは助かった」 石屋は 冗談でもない口ぶりで言った。「なあ、 あの櫓、 よく出来ているから真似して作っても良いだろうか」「もちろんかまいません。 役に立って僕も嬉しいです」 ちょっぴり自信がついた星白は、 にっこり笑った。「また世界を救いに旅立つんだろうが、 この先に草原があってな。 この辺...
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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章――6
「だろ。 間抜けな感じがして嫌なんだよね。 無理難題とか押し付けてさ、 出来たら くれてやろうじゃないか、 って言いたいわけよ。 そのほうが格好つくし。 でも 思いつかないんだ。 なんか無いか、 無理難題」「うーん。 逆立ちして 三回まわってワンていうのは?」 丈夫で長持ち主婦が、 てきと―に言ってのける。 こんなことで グダグダ長話をされてはかなわない。 さっさと夕飯をすませて欲しい。「簡単に出来ちゃいま...